3dプリンタのようなもの、を作っていた
(これは過去のプロジェクトを供養するためのエントリです)
はじめに
最近世間では3dプリンタが個人レベルでも使えるようになってきて、arduinoなどのブームとともにちやほやされているようです。
そこで放棄してしまった3dプリンタプロジェクトを思い出したので、残っている数少ない資料を公開して供養しようという趣旨です。これを見て再現できるような記事ではありませんので悪しからず。
種類
あまり詳しくは書きませんが、だいたい世の中の3dプリンタは以下の種類があるようです。
材料は
- 石膏
- プラスチック/ゴム
- 熱可塑性
- 紫外線硬化
- 金属
方式として
- SLA(stereolithography): 液体の紫外線硬化樹脂にレーザを当てて硬化させる方式。
- SLS(selective laser sintering): 主に金属粉に高出力のレーザを当てて焼結する方法。
- FDM(fused deposition modeling): 加熱して柔らかくした糸状(直径1-2mm程度)のプラスチックを積層する方法。cupcake CNC やRepRapで使われている。
- インクジェット: バインダー(石膏に対して)もしくは紫外線硬化樹脂を微量ずつ噴射して積層する方法。
このうちFDMとインクジェットは色を付けたり複数材料に対応することが可能です。そして個人での実現が可能と思えるものでもあります。
しかしここで考えたわけです。SLSでも材料をプラスチックに限定して、低速にすれば100mW級のレーザダイオードでもなんとか実現可能ではないかと。これがこの計画の発端です。
構成
簡易的に構成を書きます。
枠組み
重量が大きくなることが予想されたので、LECOFRAMEを用いました。
レーザ
いわゆる「共立緑レーザ」の波長変換部を取り除いたものに(これでIRになる)、CDピックアップユニットのコリメータレンズを追加して、焦点距離を5mm程度にした物を使用しました。
制御FW
当初の計画では次のようなボードをI2Cで接続する構成でした。
しかし結局はHTTPサーバが安定動作せず、USB-serial変換チップとAVRで、コントローラはUSB-I2Cブリッジで置き換えることとなりました。
動作
テーブル降下→層形成→レーザ照射の繰り返しで一層ずつ焼結していきます。確か一層の厚みは0.3mm程度だったと思います。
材料は塩化ビニルの粉末(白色)にカーボンブラックを混合してIR吸収率を高めた物を使っています。
結果
残念ながら画像は残っていませんが(笑)、直径10mmの半球(下に凸)や三角柱を形成できたはずです。主にここで問題が起きて行き詰まったわけです。その問題と言うのは:
- もろい: 指で圧力をかけるとくずれる
- 不安定: 新しい層の粉末を広げるときに前に焼結した部分がひっかかってずれる問題
が発生して、特に2の問題が解決できなかったわけです。それで試行錯誤しているうちに次のような設計のあらが見えてきて、嫌になったわけです。
- コマンドの遅延の問題: センサ基板とモータ制御基板の通信にPCを経由するので端点ですぐに停止できない。しかも遅延の長さが安定しない。
- 無駄に高剛性/重い/高価な構造: フライス盤などと違って非接触なのにわざわざ重く作って剛性を上げる無駄
- 粉体散布の不安定性: さっきの「ひっかかる」問題
- 配線の複雑さ
そこでこれらの問題を解決すべく作られた2号機があるのですがー(それも放棄しました)、それは気が向いたらまた書くこともあるかもしれません。